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俳句の英語訳の難しさ 

種田山頭火の俳句に「この旅、果もない旅のつくつくぼうし」というのがあります。五七五になっていないですけど、いわゆる自由律というやつで、これも立派な俳句です。

その英訳にこういうのがあります。

This trip -
An endless trip,
Tsu-ku-tsu-ku-boshi.

「Tsu-ku-tsu-ku-boshi」なんて英米人には分かるわけもないんですが、それでも「Tsu-ku-tsu-ku-boshi」とした訳者の英断は評価したいと思う。

とにかく俳句の翻訳は困難を極める。


種田山頭火の俳句とその英訳はまた後で紹介するとして、俳句の翻訳について少し考えたい。


有名な松尾芭蕉の「古池や 蛙飛びこむ 水の音」には非常にたくさんの英訳が存在すると言われていますが、それだけ翻訳が難しいということだと思います。

たとえば、五つほど挙げますと、

Into the calm old lake
A frog with flying leap goes plop!
The peaceful hush to break

An ancient pond!
A frog leaps in;
The sound of the water

An old pond!
A frog jumps in-
The sound of water

At the ancient pond
A frog plunges into
The sound of water

There is an old pond.
A frog jumped into the pond.
And made a splashing sound.


いずれもよく練られていますが、最後の「水の音」の訳がやはりいまいちです。

私だけかもしれませんが、この芭蕉の俳句からはとにかく静けさが伝わってきます。鳥の声さえしないような静けさの中で一匹の蛙がチャポーンと池に飛び込んで、そしてまたすぐに元の静けさに戻るという印象を強く受けます。

静かだなんて俳句の中に一言も書いてないにもかかわらず!


だから一番目の訳例のように「calm old lake」としてしまうのはやや邪道だと思う。(calm=静かな)

作者である芭蕉はおそらく、蛙が飛び込む音によってより一層自らに迫ってきた古池の圧倒的な静けさに感銘を受けて俳句を作ったんだと思います。

とにかくその静けさが俳句の眼目であらねばならない。

そういう意味では次の訳なんかはすぐれていると思う。

An old quiet pond‥
A frog jumps into the pond, Splash!
Silence again.

quiet(静かな)やSilence(静けさ、静寂)を使うのはやはり邪道だと思いますが、先ほど挙げた四つの訳よりよっぽど感じが出ています。

でもこれではある意味俳句ではないような気もします。

自分でもあれこれ考えましたが、これといった訳は作れませんでした。

難しいです…。


やはり、俳句を理解してもらうには日本語を覚えてもらうしかないように感じます。



では、最後に山頭火の俳句とその英訳を紹介します。冒頭でも言いましたが五七五になっていないのが多いです。でも逆に俳句の俳句たる所以が分かるかもしれません。

種田山頭火について知りたい方はコチラをご覧下さいませ。



☆☆☆


まつすぐな道でさみしい

Stretching ahead -
The straight road,
Loneliness.


雪がふるふる雪見てをれば

The snow,
As I watch,
Keeps falling and falling.


どうしようもないわたしが歩いてゐる

Me -
Helpless and good for nothing,
Walking


寝ころべば枯草の春匂ふ

Lying down,
On the withered weeds,
Smelling spring.


いちにち物いはず波音

All day -
Without a word,
Waves crashing.


寝床まで月を入れ寝るとする

Letting the moon,
Into my bedroom -
I'll go to sleep.


どこからともなく雲が出て来て秋の雲

From nowhere,
Clouds coming out -
Autumn clouds.


窓あけて窓いつぱいの春

Opening the window -
A windowful of Spring.


空へ若竹のなやみなし

Into the sky,
A young bamboo -
Without pain.


☆☆☆


( 英訳 : 三浦久、ジェイムズ・グリーン )


コメント

ようこそ

最後の行はなかなかいい感じかも。
でもこの俳句に登場する蛙はきっと一匹。

あらためて私も考えてみました。
こんなのどうでしょう。

There is an old pond
and there is sound of water
made by a frog

「古池...]について

私の英訳:

  Into an old pond
frogs jump all of a sudden
silence prevails again

 蛙が飛び込む突然の音、その後の「静けさ」を引き出す英語表現が問われます。
水の音よりは蛙の動作を重視して表現してみました。いかかでしょう。

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かわずとびこむ

古池や 蛙とびこむ 水の音 あまりにも有名な俳句なので、翻訳例もいろいろあるそうで、

  • [2008/03/28 06:02]
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